8月に入って早々、米国の株式市場に衝撃が走りました。
7月の雇用統計が市場予想を大きく下回り、過去の統計まで大幅に下方修正されたことで、ナスダック総合指数は2.2%の下落。
「景気後退入りか?」との不安も広がるなか、今回は現役トレーダーの友人と共に、この雇用統計の裏側と今後の投資判断について掘り下げてみました。
雇用統計は本当に「悪いニュース」なのか?
私(50代・投資初心者):
なんか、7月の雇用統計が予想よりかなり悪かったって聞いたけど…それってヤバいってこと?
友人(現役トレーダー):
そうだね。数字だけ見ると結構ショッキングだった。
7月の非農業部門雇用者数は+7.3万人で市場予想を大きく下回っただけでなく、5月と6月の数字も大幅に下方修正されたんだ。
私:
それってどのくらい修正されたの?
友人:
5月分が+14.4万人→+1.99万人、6月分は+14.7万人→+1.44万人。
合わせて約25.8万人の修正だよ。これはさすがに市場も驚いた。実際、ナスダックは2.2%も下がった。
私:
こんなに修正されるって、もともとの数字が信用できないってこと?
友人:
その通り。実はこれ、米労働統計局の「事業所調査」の回答率が年々下がってることが背景にある。
コロナ以降は特にひどくて、統計精度がかなり落ちてるんだ。つまり、初回発表はあくまで「速報値」にすぎない。
私:
なるほど…。でも、そんなに雇用が悪いなら、景気後退ってこと?
友人:
まだそこまで言い切るのは早い。例えばS&P500企業の第2四半期の1株利益成長率は+10.3%の見通しで、3四半期連続で2桁増益なんだ。
企業業績はむしろ好調で、実体経済はまだ崩れていない。
今後の投資判断にどう活かすか?
私:
じゃあ、この雇用統計ショックって、どう受け止めればいいのかな?
友人:
重要なのは「雇用統計の数値そのもの」よりも、「その背景にある構造変化」を見ること。
たとえば、移民政策の影響で労働力人口が減少していて、少ない雇用の増加でも失業率が上がりにくくなってるんだ。これは“見かけ上の強さ”を生み出してるだけかもしれない。
私:
じゃあ、労働市場が強く見えても鵜呑みにしちゃダメってこと?
友人:
そう。数字だけ見て慌てず、企業決算や金利動向など他の指標と合わせて全体像を見て判断することが大切なんだ。冷静にね。
ポートフォリオ調整へのヒント
- 米国株は引き続き業績ベースで精査
→ 雇用統計の数値に振り回されず、個別企業の業績動向に注目。 - 短期的な下落局面は買い場として活用
→ 景気後退が顕在化しない限り、押し目買いは有効。 - 構造変化に強い分野へ資金を移す
→ 労働力不足を補うAI・自動化関連は引き続き注目セクター。 - データの不確実性を前提とした分散投資
→ 統計の精度が落ちている現状では、複数の視点からの分析が必要。
まとめ:統計の「精度低下」が投資判断の前提を変える
2025年の夏、表面的な数値ではなく、その背後にある“構造的な変化”に目を向けることが、ますます重要になってきました。
回答率の低下や移民政策など、雇用統計はますますノイズが多く、単純な景気指標としての信頼性は落ちているのが現実です。
だからこそ、私たち50代の個人投資家に求められるのは、数字の裏を読む力と、冷静な観察眼。
感情に振り回されず、長期的視点を持って、今後も市場と向き合っていきたいと思います。
ーつづくー
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