インフレは落ち着いてきたのに、株価は不安定。米国経済が減速する一方で、アジア新興国は好調を維持──。
2025年の世界経済には、地域ごとの“明暗”がはっきりと見え始めています。こうした動きをどう読み解き、今後の資産運用に活かしていくべきか。今月も、現役トレーダーの友人に世界経済の動向を聞きながら、投資戦略のヒントを探ってみました。
私(50代・投資初心者)
最近ニュースを見ていても、「米国が減速」とか「台湾の成長率が急上昇」とか、ばらばらな話題ばかりで、正直どこに注目すればいいのか分からなくなってきたよ。
友人(現役トレーダー)
それ、すごく大事な感覚だよ。今の世界経済は、「平均的に良い/悪い」じゃなくて、国や地域によって完全に温度差が出てきてるからね。つまり、どこに投資するかで結果が大きく変わってくるフェーズに入ってる。
私
たとえば、アメリカって今どうなんだっけ?
友人
インフレ率は2.7%とやや上昇気味だけど、失業率は4.1%に改善してる。ただし、GDP成長率はマイナス0.5%と急低下。これ、前回の2.4%から大きく落ち込んでるから、リセッションの懸念がまた強まってる状況だよ。
私
それって、株式市場にはマイナス材料ってこと?
友人
そう。米国株が軟調になってるのは、まさにこういう経済指標の裏付けがあるから。しかも、カナダやメキシコも似たような動きで、成長は停滞気味。
私
じゃあ、欧州はどうなんだろう?
友人
ドイツ、フランス、イタリアあたりも成長率は0〜0.4%程度と弱いまま。失業率は安定してるけど、インフレも高止まり気味で、いわゆる「スタグフレーション」のリスクが心配されてる。イギリスも同じく景気の鈍化が鮮明になってきたね。
私
あまりいい話が聞こえてこないなあ…。でも新興国とかアジアはどうなの?
友人
そこが明るい材料。中国はインフレ率0.1%、失業率と成長率も安定していて、長期成長に向けた安定感が出てきた。インドやインドネシアはインフレも抑えられていて、インドは2%の成長をキープ。さらに台湾なんかは、GDP成長率が9.67%という驚異的な伸びだよ。
私
9%超え?なんでそんなに伸びてるの?
友人
半導体需要の継続と、サプライチェーン再編が追い風になってる。台湾経済は構造的に強い分野で利益を得てるんだよね。
私
中東やオーストラリアは?
友人
トルコはインフレが35%超と高止まりで、失業率や成長に改善の兆しが見えにくい。一方で、オーストラリアや韓国、シンガポールはインフレが落ち着いていて、成長率も微増。守りの投資先として注目されてる。
今後の投資判断にどう活かすか?
私
こうやって聞くと、もう「世界分散しておけばいい」って単純な話じゃなくなってるね。
友人
まさにそう。今は「どこに投資するか」で成果が分かれる時期。アメリカや欧州に偏りすぎていると、下振れリスクが高まる。新興国や成長性のあるアジア圏を、戦略的にポートフォリオに取り入れることが必要だよ。
ポートフォリオ調整へのヒント
- 成長率が高い新興国(インド、台湾、インドネシア)を取り入れる
- 米国株比率が高すぎる場合は、ETFなどでアジア地域を追加
- 欧州は慎重に。スタグフレーションリスクを見極めながら配分調整
- トルコなどボラティリティの高い地域はリスク管理を徹底
- 為替と金利動向にも注目し、ヘッジ戦略を組み込む
まとめ:世界の「温度差」に合わせて、資産の再配分を考える
2025年の世界経済は、もはや一枚岩ではありません。アメリカや欧州のように景気減速や高インフレに苦しむ地域がある一方で、アジアの新興国や一部先進国では着実な成長が見られます。
このような環境下では、投資家としての視点も「平均値」ではなく、「地域ごとの違い」に目を向けることが重要です。
資産形成のための第一歩は、世界の温度差を見極め、バランスよく配分すること。50代からの投資こそ、そうした冷静な視点が求められているのかもしれません。
つづく
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