※この記事は MarketChameleon 非公式の日本語教育ガイドです。MarketChameleon 社が発行・推奨・スポンサーしているものではありません。掲載しているスクリーンショットは操作説明の目的でのみ使用しています。
強気だと思ったから、コールを1枚買って少し上のコールを1枚売る。いわゆるデビット・コール・スプレッドです。ここで手が止まるのは「で、この値段は普通なのか」という一点ではないでしょうか。証券会社の画面はいまの気配は出しますが、その買値が去年1年の中でどのあたりなのかは教えてくれません。Market Chameleon の「Debit Call Spread」ベンチマークは、この一点だけのために作られた画面です。この記事では、実際の画面の数字をそのまま使って読み方を手順にします。

この記事でわかること
- Debit Call Spread ベンチマークの開き方(銘柄ページ→Options→Strategy Benchmarks→タブ)
- この指数が実際に何を組んでいるのか(ATMを買い、+5%を売る/30日定常満期)
- 「株価に対する%」で出てくる意味と、そこから損益比を逆算する方法
- 30日・60日・90日・120日を横に並べたとき、コストの絶対値と「割安さ」の順序が一致しないこと
- 同じ日のSPYとQQQを直接比べる方法
- この数字ではわからないこと(=断定してはいけないこと)
本記事の数値について
本文の数値はすべて実際の画面から取りました。基準は 2026年8月10日(月)16:00 ET の終値時点、対象は SPY(State Street SPDR S&P 500 ETF Trust・終値773.03)と QQQ(同720.87)です。市場データは15分遅延です。特定の銘柄や取引を推奨するものではありません。
なぜ「ベンチマーク」がいるのか
コールスプレッドの買値をそのまま時系列で追うことは、実はできません。理由は2つあります。
1つは満期が毎日ずれていくこと。今日「残り30日」だった限月は、明日には29日、明後日には28日です。同じ建玉を追いかけている限り、価格が下がったのが相場のせいなのか、単に満期が近づいたせいなのかが混ざってしまいます。
もう1つは権利行使価格が固定できないこと。株価が動けば、昨日アット・ザ・マネー(ATM)だった権利行使価格は今日インになったりアウトになったりします。5ドル幅のスプレッドと10ドル幅のスプレッドの値段を並べても意味がありません。
そこでMarket Chameleonは、VIXと同じ発想で合成の指数を作っています。周辺の限月・権利行使価格から加重平均で「常に残り30日」「常にATMと+5%」のスプレッドを組み立て、その理論コストを毎日記録する。こうして初めて、今日の値段を1年前の値段と同じ土俵で比べられます。
手順①:画面を開く
操作は3ステップです。
- 上部の検索ボックスで銘柄(例:
SPY)を検索し、銘柄ページを開く - 左メニューの OPTIONS を開き、Strategy Benchmarks をクリック
- 画面上部の戦略タブから Debit Call Spread を選ぶ
URLを直接開くこともできます。marketchameleon.com/Overview/SPY/Option-Strategy-Benchmarks/Debit-Call-Spread/ の形で、SPY の部分を調べたい銘柄に差し替えるだけです。

タブは17本あります。Summary/Risk Reversal/Straddle/Strangle/Debit Call Spread/Debit Put Spread/Ratio Call Spread/Ratio Put Spread/Double Bull Spread/Double Bear Spread/Calendar Call/Diagonal Call/Diagonal Put/Long Call/Long Put/Iron Butterfly/Iron Condor。タブを切り替えるだけで、同じ銘柄・同じ日について戦略ごとのコスト水準を横断的に見比べられるのがこの画面の強みです。
手順②:この指数が何を組んでいるかを確認する
数字を読む前に、Index Description の表を見てください。ここに、指数が想定している中身が書いてあります。
| Option | Strike | Maturity |
|---|---|---|
| Buy Call(コールを買う) | ATM | 30-Day |
| Sell Call(コールを売る) | +5% from ATM | 30-Day |
画面の説明文も同じことを言っています。「アット・ザ・マネーのコールを買い、スポット価格の5%上のアウト・オブ・ザ・マネーのコールを売る、満期30日のオプションの理論コストを追跡するように設計されている」。

ここが効いてきます。買いと売りの権利行使価格の幅が常に株価の5%だと決まっているので、満期時にこのスプレッドが取り得る価値は 0%から5%のあいだに必ず収まります。株価が下がり切れば0、+5%以上まで上がれば5%で頭打ち。つまり「株価に対する%」で表示されているコストは、そのまま「上限5に対していくら払っているか」と読めます。
手順③:現在値・52週平均・パーセンタイルランクの3点を読む
Index Cost の枠に4つの数字が並びます。SPYの30日満期を実際に読んでみます。

| 項目 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| Current | 1.3% [Debit] | いまのコスト(株価に対する%・支払い) |
| Chg | 0.0% | 前日比(終値時点のため変化なし) |
| 52-Wk Avg | 1.5% | 過去52週の平均コスト |
| 52-Wk % Rank | 15% | 過去1年の観測のうち、いまより安かった日は15%しかない=歴史的に安い側 |
チャートの点線が52週平均(1.5%)、実線が日々のコストです。直近は点線の下に張り付いています。
この「安い」は、他の指標とも整合しています。同じページの上部に 30-Day IV: 12.4/IV30 % Rank: 16%(Subdued) と出ています。IVが歴史的に低い局面でオプションの買い物が安くなるのは筋が通っており、ベンチマークのランク15%とIVランク16%がほぼ揃っているのは、数字が壊れていないことの傍証にもなります。
画面の下の表は自分で検算できます
チャートの下には日次データが並んでいます(2025年8月11日〜2026年8月10日の251営業日分)。この251件の平均を自分で計算すると 1.472%。画面表示の52週平均1.5%と一致します。60日・90日・120日でも同じように2.006%/2.323%/2.513%となり、表示の2.0%/2.3%/2.5%に揃いました。数字の出どころを1回だけ自分で確かめておくと、以降は安心してこの画面に乗れます。
手順④:損益比に翻訳する
%のままでは実感が湧きません。株価100ドルあたりに置き換えると、この指数はとても素直な数字になります。
コスト1.3%=1.30ドル払って、うまくいけば5.00ドルになる建物。最大利益は 5.00 − 1.30 = 3.70ドルで、リスク1に対してリターンは約2.8です。実際のSPY(773.03ドル)に当てはめると、1枚あたりの支払いはおよそ1,005ドル、最大価値はおよそ3,865ドル、最大利益はおよそ2,860ドルという規模感になります。
この「約2.8倍」が、平均的な年ならどうだったか。52週平均の1.5%で計算すると (5.0 − 1.5) ÷ 1.5 = 約2.3倍です。いまは平均よりも良い条件で同じ賭けができる。ベンチマークが言っているのはそこまでです。
最大利益は「+5%まで上がったら」の話です
上の3.70ドルは、満期時点で株価が5%以上上がっていた場合の値です。30日で+5%が起きる確率をこの画面は教えてくれません。「割安だから有利」ではなく、「割安なのは、市場がその5%を起きにくいと見ているからかもしれない」という読み方が要ります。コストの低さと勝ちやすさは別の話です。
手順⑤:満期を横に並べる。ここが一番おもしろい
この画面は1つの銘柄について、30日・60日・90日・120日の4本を同時に表示します。


SPYの4本は次のとおりです(2026年8月10日終値時点)。
| 満期 | 現在コスト | 52週平均 | 52週ランク | 52週レンジ |
|---|---|---|---|---|
| 30日 | 1.3% | 1.5% | 15% | 1.2%〜2.1% |
| 60日 | 1.8% | 2.0% | 4% | 1.8%〜2.4% |
| 90日 | 2.2% | 2.3% | 20% | 2.2%〜2.6% |
| 120日 | 2.4% | 2.5% | 19% | 2.3%〜2.8% |
コストの絶対値は満期が伸びるほど素直に上がります(1.3→1.8→2.2→2.4)。時間を長く買うのだから当然です。ところが「自分の過去と比べてどれだけ安いか」の順序はそうなっていません。いちばん安い側にいるのは60日(ランク4%)で、30日(15%)や90日(20%)よりも歴史的な下限に近い位置にいます。
言い換えると、「いま強気スプレッドが安い」という一言では足りないということです。どの期間を買うかで、割安さの度合いが変わります。同じ画面の中に4本並んでいるのは、そこを見比べさせるためです。
「1日あたりいくら払っているか」も出せます
コストを日数で割ると、同じ「0〜5%の払い出し」を1日持つための値段が出ます。30日=0.043%/日、60日=0.030%/日、90日=0.024%/日、120日=0.020%/日。期間が長いほど1日あたりは安い。これは画面に出ている数字ではなく、こちらで割り算しただけのものです。ただし長く持てばそのぶん不確実性も長く抱えるので、安さだけで決められる話ではありません。
手順⑥:別の銘柄と比べる
標準化されている以上、銘柄をまたいだ比較もそのままできます。同じ日のQQQを開きます。

| 満期 | SPY | QQQ |
|---|---|---|
| 30日 | 1.3%(ランク15%) | 1.7%(ランク30%) |
| 60日 | 1.8%(ランク4%) | 2.1%(ランク7%) |
| 90日 | 2.2%(ランク20%) | 2.3%(ランク4%) |
| 120日 | 2.4%(ランク19%) | 2.4%(ランク4%) |
30日で見ると、QQQで同じ「0〜5%」の建物を作るコストはSPYの約1.3倍です。損益比に直すと、SPYが約2.8倍に対してQQQは約1.9倍。両方が同じくらい上がると思っているなら、SPYで組むほうが取り分は大きいという比較ができます。
一方で、120日ではコストがどちらも2.4%で並びます。ただしランクはSPY 19%に対してQQQ 4%、絶対値は同じでも、QQQのほうが自分の過去に対しては珍しく安い。この2つの見方は最後まで別物として扱ってください。
この数字ではわからないこと
- 実際に発注できる値段ではありません。これは周辺の限月・権利行使価格から作った理論コストです。実際の板には「ぴったり残り30日」「ぴったり+5%」の権利行使価格は普通ありません。
- 上がる確率は含まれていません。安いことと勝ちやすいことは別です。安さの理由が「市場がそこまでの上昇を見ていない」ことである可能性は常にあります。
- 比べているのは自分の過去1年だけです。52週の環境が特殊なら、ランクも特殊な意味しか持ちません。
- 表示は小数1桁に丸められています。1.3%と表示されていても実際には1.25〜1.34%の幅があります。日次表から自分でパーセンタイルを数え直すと、丸めのぶんだけ画面表示のランクとずれます。ランクは目盛りではなく方位磁針として使ってください。
- データは15分遅延です。
よくある質問(FAQ)
Q. なぜ実際のスプレッド価格ではなく、指数なのですか。
A. 実際の建玉は毎日満期が1日ずつ短くなり、株価が動けば権利行使価格の位置も変わるため、日をまたいだ比較ができないからです。VIXと同じ考え方で「常に残り30日・常にATMと+5%」の合成コストを作ることで、時系列比較が成立します。
Q. 52週パーセンタイルランクが低ければ買いですか。
A. そうとは限りません。ランクが示すのは「過去1年と比べて安い」ことだけです。安くなっている理由が、市場が大きな上昇を見込んでいないことである場合もあります。イベント(決算・指標発表)の有無と併せて判断してください。
Q. Straddle タブとの使い分けは。
A. ストラドルは方向を持たずボラティリティそのものを買う戦略なので、コストの高低はほぼIVの水準の話になります。Debit Call Spread は方向(上)を持ちつつ、上値を売ってコストを抑えた形なので、IVの水準に加えて上方向のスキューの影響も価格に入ります。同じ銘柄で両方のタブを見比べると、その差が読めます。
Q. 個別株でも使えますか。
A. 使えます。URLの銘柄部分を差し替えるだけです。ただし個別株は決算などの固有イベントでコストが跳ねるため、指数ETFよりランクの上下が激しくなる点に注意してください。
まとめ
- Debit Call Spread ベンチマークは、ATMのコールを買い+5%のコールを売るスプレッドの理論コストを、30日定常満期・株価に対する%で標準化して記録した指数。
- 幅が常に株価の5%なので、コストはそのまま「上限5に対していくら払うか」と読める。1.3%なら、リスク1に対しリターン約2.8。
- 読むのはCurrent・52週平均・52週パーセンタイルランクの3点。チャートの点線が平均。
- コストの絶対値は満期が伸びるほど上がるが、「割安さ」の順序は単調にならない(SPYは60日がランク4%で最も安い側)。
- 標準化されているので銘柄をまたいだ比較ができる。ただし「絶対値の安さ」と「自分の過去に対する安さ」は別物。
- これは理論コストであり、発注できる値段でも、勝率でもない。候補を絞るための計器として使う。
Market Chameleon を試してみる
この記事で見た画面は、銘柄ページの左メニュー「Options」→「Strategy Benchmarks」からすぐ開けます。気になっている銘柄で、いまのコストが過去1年のどのあたりか確かめてみてください。
※この記事は投資助言ではなく、根拠ある情報提供として書いています。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
参考動画:Market Chameleon 公式「Tracking a Bull Call Spread Strategy Benchmark、Compare Costs & Spot Opportunities」
※本記事は一般的な情報提供であり、投資助言ではありません。記載は執筆時点の情報です。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
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