※この記事は MarketChameleon 非公式の日本語教育ガイドです。MarketChameleon 社が発行・推奨・スポンサーしているものではありません。掲載しているスクリーンショットは操作説明の目的でのみ使用しています。
オプションチェーンが映しているのは「いま」の断面だけです。同じ満期・同じ権利行使価格の1枚が、3週間前にいくらで売買され、そのときIVがどのくらいで、建玉がどう動いたのか。それはチェーンには出てきません。Market Chameleon の「Historical Data」タブは、1つの建玉について、日ごとの履歴を1枚の表で見せてくれます。この記事では、実際の画面の数字をそのまま使って、この表の読み方を手順で整理します。

この記事でわかること
- オプションチェーンから、1つの建玉の履歴ページを開く手順
- Historical Summary の5ブロック(Trades/Price/Market/Volatility/Volume By Condition)が何を指しているか
- 建玉(Open Interest)が「その日の開始時点」である意味と、出来高との突き合わせ方
- 同じ「出来高が多かった日」でも、新しい建玉が残った日・手仕舞われた日・その日のうちに回っただけの日を見分ける方法
- この画面では分からないこと(=断定してはいけないこと)
本記事の数値について
本文の数値はすべて実際の画面から取りました。対象は C(シティグループ)の 21-Aug-26 満期 135.00 コール、画面が表示していた基準は 2026年8月7日(金)15:57 EDT・15分遅延データです。特定の銘柄や取引を推奨するものではありません。
チェーンにも当日チャートにも出てこない「その建玉の履歴」
Market Chameleon には、1つのオプションを見る画面が段階的に用意されています。似ているようで、映している時間の幅がそれぞれ違います。
| 画面 | 映しているもの | 時間の幅 |
|---|---|---|
| オプション・チェーン | いまの気配・IV・建玉 | 現在の断面 |
| 価格・出来高チャート | ミッドポイント価格・IV・株価の重ね表示 | 当日の中の動き |
| Historical Data | 約定件数・出来高・建玉・価格・IVの日次履歴 | 直近90日分 |
「昨日この権利行使価格に大口が入った」という話を聞いたときに、それが本当に普段と違う動きなのかを確かめられるのは、3つ目の画面だけです。1日の断面をいくら詳しく見ても、比較する相手がいなければ「多い」「少ない」は決まりません。

手順①:チェーンから、その1枚の建玉のページを開く
オプション・チェーンで、調べたい行の出来高(Volume)の数字をクリックします。Market Chameleon 自身がチェーンページのFAQでこう説明しています。「個々のオプションの取引一覧は、上の表の該当する出来高の数字をクリックすると表示されます」。開いた先が、その1枚の建玉の専用ページです。
ページの左側にタブが6つ並びます。Summary / Implied Vol Charts / Historical Data / Time And Sales / Single Leg Trades / Multi-Leg Trades。この記事で使うのは3番目の Historical Data です。

URLを直接開くこともできます。marketchameleon.com/options/quote/C260821C00135000 の形で、末尾はOCCのオプション・シンボルです。C=ティッカー、260821=満期(2026年8月21日)、C=コール(プットはP)、00135000=権利行使価格135.000。慣れると、チェーンを経由せずに目的の建玉へ直接飛べます。
タブ名についての注意
Market Chameleon の解説動画では、この画面が「Tracking」というタブ名で紹介されていることがあります。現在の画面では 「Historical Data」 です。古い動画を見ながら操作するときは、タブ名ではなく並び順(左から3番目)と表の見出し「Historical Summary」で当たりを付けてください。
手順②:Historical Summary の5ブロックを押さえる
表の見出しは2段になっていて、上段が5つのブロック、下段が個別の列です。まずブロック単位で覚えるほうが早く読めるようになります。
| ブロック | 列 | 意味(公式の説明より) |
|---|---|---|
| (共通) | Record Date/Days To Exp/Stock Price | 記録日、満期までの残日数、その日の原株の終値 |
| Trades | Total/Volume/$ Notional/Open Int | 約定件数、売買された枚数、約定の総額、その日の開始時点の未決済建玉 |
| Price | VWAP/High/Low/Last | 出来高加重平均価格、その日の高値・安値、引け前の最後の約定価格 |
| Market | Bid/Ask/MidPt %Chg | 買い気配・売り気配と、ミッドポイントの前日終値比 |
| Volatility | VWAV/High/Low/Last/MidPt IV | 出来高加重平均IV、その日のIVの高値・安値・最終約定IV、最終気配のミッドから見たIV |
| Volume By Condition | Sweep/Auto Execution/Regular/Multi-Leg/Contingent | 出来高を約定の種類で分けた構成比(後述) |
いちばん新しい行(2026年8月7日)を、実際の数字で読んでみます。
約定件数62件/出来高136枚/約定総額37,545ドル/建玉3,905枚。価格はVWAP 2.8・高値3.02・安値2.20・最終2.90。気配は2.77/3.10で、ミッドポイントは前日比 +8.5%。IVはVWAV 26.6・高値27.6・安値26.1・最終27.2・ミッド26.8。
ここで手元の検算が効きます。約定総額37,545ドルを「136枚 × 100株」で割ると 2.76。Summaryタブに出ている VWAP 2.76 と一致します(履歴表のVWAPは小数1桁に丸めて2.8と表示されています)。ミッドポイントも、当日 (2.77+3.10)÷2=2.935 と前日 (2.58+2.83)÷2=2.705 を比べると +8.5% で表示どおりです。数字が自分で追えるかを最初に一度確かめておくと、以降の読みに安心して乗れます。
もうひとつ。8月7日(金)から満期の8月21日(金)まではカレンダーで14日ありますが、Days To Exp は 10 と出ています。つまりこの列は営業日ベースです。時間価値の減り方を考えるときに、カレンダー日数と取り違えないようにしてください。
手順③:出来高と建玉を突き合わせる。ただし「1つ上の行」と
この表でいちばん実用的な読み方が、出来高と建玉の突き合わせです。ポイントは、公式の説明にある一言に尽きます。Open Int は「その日の開始時点」の建玉です。
つまり、ある日の売買の結果は、その日の行ではなく翌営業日の行に現れます。表は新しい日付が上に並ぶので、比較相手は1つ上の行です。ここを逆に読むと、結論まで逆になります。

同じ建玉の3つの日を並べます。どれも「1,600〜2,200枚が動いた日」です。
| 日付 | 出来高 | その日の建玉 | 翌営業日の建玉 | 差 | 出来高に対する比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 7月14日 | 2,172 | 2,314 | 3,327(7/15) | +1,013 | 約47% |
| 8月4日 | 1,647 | 4,792 | 3,964(8/5) | −828 | 約−50% |
| 7月29日 | 1,930 | 4,760 | 4,800(7/30) | +40 | 約2% |
出来高の大きさはほとんど変わらないのに、残ったものはまるで違います。7月14日は売買のおよそ半分が新しい建玉として市場に残り、8月4日は逆に800枚以上が消え、7月29日はほぼ何も残らずその日のうちに回りました。
「出来高が多い=新しいポジションが入った」ではありません
出来高は「その日どれだけ手が動いたか」、建玉の増減は「どれだけ未決済のリスクが残ったか」です。別々の量なので、片方だけを見て「大口が入った」と読むと外します。上の3日はいずれも出来高が普段の10倍前後ありましたが、建玉への残り方は +1,013/−828/+40 と正反対でした。
手順④:Volume By Condition で「単独の売買か、スプレッドの片脚か」を見る
建玉が増えていたとしても、その中身が単独の方向性の賭けとは限りません。表の右端の Volume By Condition が、その日の出来高を約定の種類で分けてくれます。公式の説明では、それぞれこう定義されています。
- Sweep:複数の取引所へ同時に出して流動性を取りにいく攻撃的な注文(インターマーケット・スイープ注文)の比率
- Auto Execution:取引所のマッチングエンジンで自動的に約定した比率
- Regular:特別な指定のない通常の単独レッグ取引の比率
- Multi-Leg:スプレッドなど複数レッグ戦略の一部として約定した比率
- Contingent:株式の売買と紐づいた約定(デルタヘッジやバイライトなど)の比率

同じ建玉で、性格の違う日を挙げます。
- 7月17日:出来高1,317枚、うち Multi-Leg 61%。建玉は3,706枚から翌営業日4,506枚へ +800枚。建玉はしっかり増えていますが、その多くはスプレッドの片脚として建った玉です。
- 7月22日:出来高261枚のうち Multi-Leg 81%。枚数は小さく、ほぼスプレッド絡みでした。
- 8月4日:Auto Execution 92%・Multi-Leg 5%。こちらは単独の売買が中心です。
「この権利行使価格のコールが大量に建った=強気の大口が入った」と読みたくなる場面で、Multi-Leg の比率が6割・8割だった、ということは普通に起きます。方向感の材料にする前に、この列を1回見る癖をつけると読み違いが減ります。
手順⑤:価格とIVの履歴から、その建玉の「効き方」を掴む
MidPt %Chg の列を縦に眺めると、原株の動きがこの建玉にどれだけ増幅されて効いたかが見えます。7月30日の行では、原株が127.1ドルから132.3ドルへ +4.1% 動いたのに対し、この135コールのミッドポイントは +116.0%(1.215→2.625)でした。逆に7月29日は −58.9% です。満期まで3週間ほどのアウト・オブ・ザ・マネーのコールが、原株の数%の動きでどう振れるかが、実データで確認できます。
Price ブロックの4つを並べて見るのも有効です。8月4日は VWAP 5.0 に対して高値5.53・安値3.40・最終4.80。安値と高値で1.6倍の開きがあり、その日の中で相当動いたことが分かります。VWAP と Last が離れている日は、日中に方向が変わった日です。
Volatility ブロックは、「実際に約定したIV」と「引け際の気配のIV」を分けて見られる点に価値があります。8月4日は VWAV(出来高加重の約定IV)28.4 に対して MidPt IV 28.7、その日のIVの安値26.2・高値29.6。約定が集中したのは28.4付近だった、という読み方になります。
この画面で分からないこと
- 誰が買って誰が売ったかは分かりません。建玉の増減は差し引きの結果であって、新規の買いなのか新規の売りなのかも区別されません。
- 建玉はその日の開始時点の値です。当日の売買の結果を見るには翌営業日の行が要ります。
- 表示されるのは直近90日分です。それより前は遡れません。
- 画面のデータは15分遅延です。
よくある質問(FAQ)
Q. Open Int は、その日の取引を反映していますか。
A. していません。公式の説明では「その日の開始時点の未決済契約数」です。ある日の売買の結果は翌営業日の行に現れるため、比較相手は表の1つ上の行になります。
Q. VWAP と Last はどう使い分けますか。
A. VWAP はその日の全約定を出来高で加重した平均、Last は引け前の最後の約定価格です。2つが大きく離れている日は、日中に価格が大きく動いた日だと判断できます。
Q. Multi-Leg の比率が高いと、どう読めばよいですか。
A. その日の出来高の多くが、スプレッドなど複数レッグ戦略の一部として約定したという意味です。単独の方向性の賭けとは限らないため、建玉の増加を「強気」「弱気」と解釈する前に確認します。
Q. どのくらい過去まで遡れますか。
A. 直近90日分です。それ以上の期間で見たい場合は、IVの推移なら Implied Vol Charts タブ、当日の細かい約定なら Time And Sales タブが別に用意されています。
まとめ
- Historical Data は、1つの建玉の日次履歴を90日分見せる画面。チェーン(現在の断面)とも当日チャート(その日の中の動き)とも役割が違う。
- Open Int はその日の開始時点。ある日の売買の結果は1つ上の行に出る。
- 出来高が同じでも、建玉への残り方は +1,013/−828/+40 のように正反対になる。出来高だけでは何も決まらない。
- 建玉が増えていても、Multi-Leg が6割・8割ならスプレッドの片脚。方向感の材料にする前に Volume By Condition を見る。
- 誰が買ったかは分からない。この画面は候補を絞るための計器であって、答えではない。
Market Chameleon を試してみる
この記事で使った Historical Data タブは、オプション・チェーンから出来高の数字をクリックすればすぐ開けます。ご自身が気になっている建玉で、同じ手順をなぞってみてください。
※この記事は投資助言ではなく、根拠ある情報提供として書いています。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
参考動画:Market Chameleon 公式「Option Chain Analysis: Track An Option Contract Price, Volume, OI and IV History」
※本記事は一般的な情報提供であり、投資助言ではありません。記載は執筆時点の情報です。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
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